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薬をずっと出されます。ずっと飲んでいても大丈夫?

 

よく受ける質問です。そして難しい質問です。
なるべく負担が少なくなるように、なるべく少ない投与、短い期間の投与、薬が効いているかどうかを判断する、耐性菌が出ないように意識する、不要な投与は控える、など考えながら投与を行っています。 しかし正直に言うと、結果的に抗生剤の投与が長くなってしまうこともよくあります。
ではどのような目安で投与を行っているか目安を述べてみたいと思います。

急性中耳炎の治療は、前述したように重症度によって初回投与の治療方針がそれぞれ異なります。
軽症のものでは抗生剤を飲まなくても治るものがあります。ですから軽度の中耳炎なら抗生剤を処方しないでしばらく様子を見ていくことがあります。

中等症、重症の中耳炎は抗生剤の処方を行いつつ、鼓膜切開を行うべきかどうかの判断もします。
抗生剤の投与期間に関しては、いろいろな報告があります。
目安として、5日間、7日間、あるいは10日間投与といった処方されることが多いと思います。
その前に薬が効いているかどうかを判定することが必要です。
発症3日目前後ぐらいで鼓膜の所見を見て、鼓膜所見の悪化、症状の悪化がないか判断を行い、その上で投与の継続、または抗生剤の変更を検討していきます。
重症の中耳炎である、中耳炎を繰り返している、2歳以下、集団保育などの背景があるときは、抗生剤の投与も長くなってしまうことが多いです。例えば10日間以上も抗生剤を飲む、というとずいぶん長く感じると思いますが、前述した要因があると、このような処方となるケースもしばしば経験します。

一方で、抗生剤を長く投与しても、なかなか治らない場合もあります。
薬を投与しても鼓膜の所見が改善しない場合です。反復性中耳炎のところでも少し述べましたが
① 抗生剤が効かない菌によって重症の中耳炎を起こしており、鼓膜所見が悪化している
② 2歳以下、集団保育、反復性中耳炎などの背景があり、鼓膜の所見が完全に正常に戻らずにくすぶっている。
③ 一旦よくなるが短期に中耳炎を繰り返すため、抗生剤の内服が長くなってしまう。
④ 実はくすりをいやがって飲んでくれない、吐き出している!


①のように抗生剤が明らかに効かずに悪化している場合は、鼓膜切開を行い更に重症にならないよう努めますが、それでも発熱、食欲不振などが続き、全身状態が悪化する場合は、内服の抗生剤での治療では困難となり入院して点滴の治療を行う必要があります。
②③が頭を悩ませるパターンです。効かない抗生剤をダラダラ飲んだからではないのか?治療がまずかったのではないか?と疑問を持たれる方も多いと思います。
これらの疑問に対して完全に否定はできませが、それだけでは説明がつかないことがあります。
この背景にはやはり生体側の免疫や抵抗力が未発達であるということが大きな要因ではないかと思います。
結果的に薬を長く飲んでしまいがちになります。しかし、ある一定の期間診察をしていると、患者さんによって、治りにくい人、治りやすい人、あるいはこれぐらいの鼓膜所見なら薬なしで様子をみても大丈夫、といったことがわかってくることがよくあります。
なお、3,4歳になってくると2歳までとは違って長引く中耳炎の頻度も確実に減ってきます。それまでは、薬を長く飲んでいるなあ、と思いつつも、副作用などがないことを確認しながら辛抱強くお付き合いをお願いしています。
冬場はどうしても風邪を引くことが多いため薬を飲むことが多くなりますが、夏場は落ち着くことも多いのでその間に薬を休薬できます。
④のような場合もよく相談があります。この場合は、座薬の抗生剤などのお薬を処方する、必要に鼓膜切開をして全身状態が悪化しないように気をつけてみていく、急性中耳炎の背景にある、鼻炎、上気道炎を軽減するために、こまめに鼻を吸引する、などの対応を行いながら経過を見ていくことになります。

以上よりまとめますと、
・薬の投与は最小限にとどめようと考えているが、どうしても長引いてしまうことがある。
・抗生剤の投与は、状態によって一週間以上必要とすることもある。
・特に2歳以下、集団保育などの要因があると、長くなりがちである。
・季節により変動するので、夏場もずっと薬を飲み続けなければならない例は極めて少ない。
・あくまでも個人的な経験だけではありますが、薬を長めに飲むことになっても、何か体に不具合が残ってしまうという経験はない。

ということになります。